平成二一年勅題 「生きる」
「生」という漢字は会意文字です。「若芽の形」と「土」をあわせた形で、地上
に出た若芽のいきいきとした新しい息吹を表現しています。
「いきる」という意味の文字が動物の事象から
造られたのではなくて、「植物」と「大地」の象
形をくみあわせて造られたということは私には
大きな意味があるように思えます。大地から
「生」が生まれ、それを動物「牛」達が食べ「生」
が受け継がれていく、現代ではこれを食物連鎖
と呼びますが、「環」という思想がここに芽生え
ているように思います。
平成二一年は丑年ですが「牛」と「生」が組合
わさり「牲」となりますと文字のイメージは大
きく変わります。
生の牛とはすなわち祭礼に捧げる生きたままの
牛をあらわします。「生け贄」と訓じ、現代の私た
ちからは忌み嫌われますが、
太古では「牲」は「生」を献じる儀式だったのです。
例年の通り一二月一三日の事始めに際して寸松庵色紙を画
きました。「牛」と「生」をデザインしたものですがお正月
のお飾りにお使いいただければ幸甚です。
どうぞよい年をお迎えになられるようご祈念申し上げます。
合掌
平成二〇年一二月一三日